香りがもたらす効果

本能と深く関わる感覚

香りは人の心と体に直接的に訴えかける、本能に直結する感覚です。
人が臭いを感じるしくみは、まず顔の中央に位置する鼻の内側にある鼻腔に入ることで感知されます。
鼻腔内の天井には嗅粘膜という嗅神経につながる神経があります。

臭いのもとになる分子がこの嗅粘膜に付着することにより嗅神経が刺激されそれが脳の深部にある辺縁系というところに伝達されていきます。
ちなみに嗅覚以外の五感は刺激を受けたときまずは視床を中継してから脳へと伝達されていくため、刺激が直接本能部分に働きかける前に脳による判断のフィルターを受けることになります。

なぜ嗅覚のみが刺激を直接脳に受けるようになっているかというと、それは何かの臭いが人やその他の動物にとって生死に関わる重要な情報であることが多いためです。
太古の時代から動物は嗅覚によって伝達される情報により、その場所の安全や快不快を判断してきたのです。

料理とにおいの関係

nikujagaそんな本能と深い関わりを持つ香りですから、人の生理にも大きな影響を与えます。

もっともわかりやすい例として挙げられるのが料理とにおいの関係です。

ものを食べるとき、鼻をつまんだりして臭いを遮断した状態で食べるとほとんど味を感じることがなくなります。

反対に、強烈な食べ物の臭いを感じるとそれだけで空腹感を感じ、旺盛な食欲を感じることができたりします。
実際おいしそうな食べ物の臭いを感じるとそれが体内では消化器官の働きを高めることができるようになっており、逆に不快感を感じる香りの中では食欲が減退してしまいます。

世界一まずいお菓子と言われているフィンランドの「SALMIAKKI」というお菓子がありますが、そのまずさの原因と言われるのがアンモニウムを含むまるでゴムのような臭いにあるとされます。
おいしいと評判の紅茶やハーブティーも、味そのものがおいしいというよりもお茶から立ち上る香りが心地よいことに理由があります。

心にも深く影響

香りと本能が最も近い関係になるのはこの「食」に関する分野ですが、それ以外にも人の気持ちが大きく左右されることもよくあります。
食べ物の香りを感じた時に人の体に起こるのは興奮や高揚の効果ですが、反対に香りを感じることで気持ちが落ち着いたり安らいだりすることもあるのです。

健康増進やストレス解消のために森林浴などが勧められていますが、それは森林内で感じる香りのもとになる分子は人の心を爽やかにしていくれる働きを持っているためです。
同じようにゆるやかな花の香りやハーブなど植物の香りには、同じように人の心を平静にしてくれる力があります。

そのような気持ちの変化をうまく生活に取り入れていけば、何らかの状況で気持ちがマイナスに向いた時に元気を取り戻したり、前向きな気分にしていくこともできます。
最近ちょっと元気が出なかったり、なんとなく気分が晴れないときが続くというときには、もしかしたら周囲の臭い・香りがよくないものになってきているのかもしれません。
まずは自分の生活環境の中にある香りに注意を向けてみて、自分の気分にあったものを探して使うようにしてみてください。

参考:香りの生理学(日本香料工業会)

香りがもたらす効果について

香りの歴史