調香師の歴史

調剤師が薬を調合して作り出すように、原料を調合して特定の香りを作り出すのが「調香師」という仕事です。
調香師には化粧品などの美容製品やインテリアとしての香料を精製する「パフューマー」と、食品に添加する香りを作り出す「フレーバリスト」の二種類があります。
しかしそうした調香師の仕事はもともとは純粋に物質を配合して別の物質を作り出すことから始められています。
歴史的には世界で初めて調香師が登場したのはルネッサンス期とされており、数多くの芸術作品が制作されたこの時期にはまた優れた香りを作り出す調香師も数多く輩出されていました。
芸術家もそうでしたが、16世紀にはフランス国内で絶大な権力を握っていた貴族たちはお抱えの調香師を持ち、自分たちの希望に沿う香りを作り出すように命令をしていたのです。
フランスだけでなくドイツでも、ハーブを使用した香水が多く作られており、中でもベルガモットを中心として香りは現在までも伝統的に使われている独特の成分となっています。

職業的な調香師がはっきりと登場してきたのは16世紀ですが、それ以前からも一般に香りが調合されてきたという記録は世界各地に残されています。
最も古い香水に関する記録は1381年のローズウォーターのものとされています。
ただしこれは人の体につけて使用するというものというよりは、ワインを薄めたり水を飲みやすくするために味の代わりに香りをつけるというようなもので、殺菌を目的とするためのものという意味の方が強かったようです。
その後フランスのグラスを中心とし、革製品の匂いを消すための技術として発達をしてきた香水は、やがて人の体につけるものとして進化していきました。
このときに使用された化学的技術は、錬金術の技法や道具がそのまま使用されました。

日本においても、仏教行事には「お香」という形で香りの文化は存在していました。
現在もアロマグッズとしてお香は広く使用されていますが、その起源となっているのは日本のお香なのです。
日本におけるお香が最も広く発達をしたのは平安時代のことで、平安貴族たちが自分の体の匂いをつけるために使用するとともに、その香りが魔除けの役割をするものとされてきました。
また江戸時代には茶道とならび、香りを楽しむ「香道」も登場してきました。
香道では、香木と呼ばれる香りのもとになる匂いの木を使って香りを楽しむことがたしなみとして行われました。
香道はその後貴族や武士だけでなく一般市民の間にも広がっていき、日本特有の伝統文化として今も各地に伝えられています。

西洋文化における香水と日本の香道は全く別のルーツから発達してきたものですが、今ではそのいずれもアロマやフレグランスの製品として手軽に購入をすることができるようになっています。