調香師の歴史

歴史の深い調香師

調香師とは香りを調合する仕事を担う人のことですが、その歴史は世界的に見ると大変古いものとなっています。
世界各国に見られる伝統的な宗教では、必ずと言ってよいほど香りは重要な役割を果たしています。

聖書には香りに関する内容の記述が数多く登場してきていますし、その内容にしたがってキリスト教では儀式で使用する特殊な香りが存在しています。
祭壇に香を焚いたり、聖なる油としての精油を体に塗布したりといったように、さまざまな利用方法があります。
同じようにイスラム圏や仏教圏でも、香りを用いた宗教行事は数多くあります。

古代エジプトの香り

香りそのものが文化として登場してきた最も古い歴史を遡ると、紀元前3000年頃の古代エジプトにまでなります。
現在も使用される香りを示す言葉の「パヒューム(perfume)」は、ラテン語の「Per Fumum」という煙によって立ち上るものという言葉が語源となっています。

古代エジプトにおいては、香料を焚くことはその香りによって邪気を払うことができると信じられていたと同時に、供え物や遺体の防腐作用を得ることができるものでした。
そのようなまだ科学的根拠が明確でない時代から見られていた不思議な作用により、宗教的な意味を強くしていったのではないかと思われます。

そのため調香師という香りを扱う仕事は、宗教的な役割を担う人が行うことが多く、それゆえにその宗教が地域的に広がることでまた香りの使用方法も広まっていくことになりました。

クレオパトラの香り

世界的な歴史を紐解いてみると、古代ローマにおいて絶対的な権力を誇ったとされる世界三大美女のクレオパトラがいます。
クレオパトラは常に身の回りから香りを欠かすことがなかったとされ、自身の美貌にそんな香りを加えることでアントニウスを虜にしエジプトの女王にまで上り詰めました。
その他にも香りを使って政治的に成功した例としてヘブライ王国やローマ王国ではいくつかの例があります。

香水の発達により生まれた職業

職業的に調香師という仕事が確立したのは17~18世紀ころからとされています。
当時フランスでは身分の高い貴族たちが香水を使用する文化が生まれ始めたところで、そこでより効果的な香りを作り出すことができる調香師が誕生をしていくことになりました。
もともと調香師は錬金術士がもとになり、実験を重ねて香りを作り出す技術を習得したものと言われます。

フランスでは水資源の不足ということもあり、毎日のように風呂にはいるという習慣が身分や性別を問わずにほとんどありませんでした。
そこで体臭を紛らわせるためにより性能のよい香水が必要になったという文化的な背景があります。

和と洋の融合

日本においても「香道」という香りを文化としてたしなむ芸道があります。
茶道や華道ほど有名ではありませんが、室町時代からの中性芸道において上流階級の人間なら身につけておくべき教養の一つとして発展しました。

現代においては日本で使用されている香りは欧米から伝えられた技術が元になっていますが、優れた調香師たちなどはそうした日本の伝統的手法もうまく技術として融合をさせているようです。